このたび本当に図らずも、理事長を拝命することになりました。昨年来のライブドアなどの事件から、今年に入って若い経営者に対する社会の評価が非常に厳しくなっていることを、皆さんも実感されていることと思います。昨年までは、これからの日本経済の担い手であるという肯定的な見方が多かったのですが、最近では何か違法なことをしているのではないかという否定的な視線がとても強くなっています。今、若い経営者の皆さんに必要なことは、自分の会社のコンプライアンスをもう一度きちんと見直すことではないでしょうか。JBCの理事の皆さんも同じ見解を持ち、JBCがコンプライアンスを何よりも大切にしている経営者の集まりであることを、内外に最も分かりやすい形で示すことが、喫緊のテーマであるという点で一致しました。そのため、弁護士である私がこの時期の理事長にはふさわしいというご指名をいただいたわけです。これほど大規模な経営者団体のトップに弁護士が就任するのは全く異例のことですが、JBCと会員の皆様の将来をより確かなものにするためにお役に立てるのであればと思い、お引き受けすることに致しました。
昨年5周年を迎えたJBCは、非常に順調に成長してきたと思います。平林さん、高橋さん、林さんの3人が着想し、澤田さんを理事長に迎えたことで、驚異的な発展を遂げることができました。澤田さんの功績は本当に大きく、JBCビジネスラウンジを作るというのも素晴らしい発想ですし、勇気のある決断であったと思います。ただ、組織の成長という観点から見ますと、一本調子で右肩上がりが続くことはあり得ません。必ずどこかで一休みして、また次の成長期に入るものです。今、JBCはその一休みの時期に入った、もしくは入るべきだと思っています。それは、決して停滞という意味ではなく、ゴルフで言えば「溜め」の状態で、力を蓄え、次の爆発を目指すべき時なのです。私は次の大発展までのつなぎ役で、在任期間は1年、長くとも2年と決めています。
そして、この理事長職を、若くて志の高い経営者の方に早く引き継ぐことが、私の役割だと思っています。私が理事長である間は、繰り返し、何度でも、会員の皆さんにコンプライアンスを訴えかけていきたいと思います。違法なことはしない勇気、やめる勇気を持つことが大切で、それには普段からコンプライアンスを意識し続けることが重要です。コンプライアンスに加えて皆さんに考えていただきたいのは、CSR(企業の社会的責任)です。コンプライアンスは非常に大事なこですが、それは必要条件あり、十分条件ではありません。企業は社会的な存在で、社会が健全であればこそ、発展することができます。社会の健全性が企業の成長を支える最も重要な基盤であるといってもいいでしょう。だからこそ、企業は社会が安全・健全であるように貢献しなければならないのです。コンプライアンスとCSRは、車の両輪です。法律を守り、社会に貢献することで、初めて社会から認められる企業になることができます。JBCは今、次の発展に向けた過渡期にあります。皆様と共に明るい未来に向かって歩を進めることができましたら、望外の喜びです。何卒、皆様の心強いお力添えをお願い申し上げます。
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